クリーンエネルギーといえば、太陽光発電と並んで風力発電をイメージする人も多いと思います。
風の力を利用する風力発電は、エネルギー源が枯渇する心配のない再生可能エネルギーの代表格ですが、これまで日本ではあまり普及が進んでいませんでした。
今後は舞台を陸から海へと移し、洋上風力発電への期待が高まりそうです。
風が強いほど発電力が増加
風力発電は、太陽光発電と同じくらいよく知られている再生可能エネルギーです。
風で風車がまわり、その回転エネルギーが発電機に伝わって電気になるのが風力発電の仕組みです。風のエネルギーは風速の3乗に比例し、例えば風の強さが2倍になると風力エネルギーは8倍になります。風が強いほど発電力が増えるので、当然、風の強い場所に建設します。ただし、強すぎると破損の原因になります。
風車は、風の吹いてくる方向に向きを変えることで、最大限の風力を受け取れるようになっています。風のエネルギーの約40%を電気エネルギーに変換でき、規模が大きくなるほど発電コストは低くなります。
風車には大きく分けて、「水平軸風車」と「垂直軸風車」の2種類があります。
水平軸風車は、風車の回転軸が風の吹く方向と平行になったプロペラ型のもので、私たちがイメージするいわゆる風車の形をしたタイプです。一方の垂直軸風車は、回転軸が風の吹く方向と垂直になっているものです。
プロペラ型の水平軸風車がもっとも発電効率にすぐれ、大規模化に向いているため、一般的に普及しています。プロペラ型は高速で回転するのが特徴です。
風車というと、オランダをイメージする人もいると思いますが、きれいなチューリップ畑にある風車は「オランダ型」というタイプで、ゆっくりと回転するのが特徴です。回転速度が遅くても力は強く、古くからオランダの農業の発展を支えてきました。
風力発電のメリットとデメリット
日本での風力発電は、欧米に比べて進んでいません。
導入当初は、研究やデモンストレーションが目的でしたが、近年は事業目的の建設が進んでいます。
風力発電のメリットは、CO2を排出しないクリーンエネルギーであることと、純国産の再生可能エネルギーであることです。また、近年は設備コストもかなり下がっています。
デメリットとしては騒音の問題があります。風車がまわる際に低周波音が出るため、住民からのクレームで運転を停止した風車もあります。
期待される洋上風力発電
いまは陸上での風力発電ですが、これからは洋上での比率が高まっていくと予想されています。
洋上は陸上に比べて大きな風力が得られることに加え、陸上では建設できる土地が限られているのに対し、洋上はまだ未開発だからです。
洋上風力には、海底に設置する「着床式」と、海に浮かべる「浮体式」があり、今後、普及していくのは浮体式だと見られています。
まだかなり先の話ですが、日本風力発電協会のロードマップによると、2050年には陸上と同等の風力発電導入量を洋上で実現することをめざしています。