ガス自由化で盛り上がるエリアは限定的か!?

前回のコラムでは、4月から始まるガス自由化が、電力自由化に比べて盛り上がりに欠けていることをお伝えしました。
なぜ、ガス自由化はいまいち盛り上がらないのか。今回はその理由を探ってみましょう。

大都市に集中するパイプライン

ガス自由化が盛り上がらない理由は、なんといっても都市ガスの供給エリアが限られていることにあります。

都市ガスの供給エリアは、日本の国土全体の約6%しかありません。にもかかわらず、都市ガスの利用者は約2900万人もいます

それは、都市ガスは首都圏や関西圏などの大都市に集中しているからです。

プロパンガスは、ガスを入れたボンベを運んで届けますよね。一方の都市ガスは、家庭や企業に届けるためにはパイプライン(ガス導管)が必要です。当然、パイプラインが通っていないところに届けることはできません。

大都市を除くほとんどのエリアではパイプラインが整備されていないため、都市ガスを使っていません。

そのため、都市ガスの小売自由化といっても「うちはプロパンガスだから」と、他人事のケースが多いのです。

パイプラインの整備には莫大なコストが!

電気の場合、送電線がないと各家庭に電気を届けることができません。そのため、山の上や森のなかまで送電線が整備されています。

ところがガスは、パイプラインがなくてもボンベに入れて届けることができます。
そのため、パイプラインの整備が遅れたといわれています。

ガス事業に新規参入する企業が7社(2016年11月16日時点)しか現れないのは、パイプラインを整備するために莫大ともいえるコストがかかるためです。

電力自由化がスタートするときは「ガスの自由化も始まれば、電気とガスのセット割でかなりお得になるだろう」ともいわれましたが、実際に恩恵を受けられるのは3分の1程度の人だろうといわれています。

残りの3分の2の人は都市ガスの供給エリアではないため、ガス自由化は関係ないのです。

政府はこの事態を重く受け止め、パイプラインの整備を進めようとしていますが、ガス自由化がスタートする4月にはとても間に合いそうにありません

首都圏や関西圏は競争激化か!?

ガスの競争激化が予想される地域もあります。

それはパイプラインが通っている首都圏や関西圏などです。東京電力、関西電力、中部電力などがガス事業への参入を表明しており、「電気+ガス」のセット割などお得なプランが発表されると期待されています。

パイプラインは公共インフラになるか?

ガス自由化とパイプラインの関係について、政治ジャーナリストの高田泰さんがZUU online(2016年11月22日)で詳しく説明しています。

高田さんも、ガス自由化が盛り上がらない理由をガスのパイプラインが国土の一部にしか整備されていないなど、新規参入の壁がとても高いためだと説いています。

ヨーロッパでは、パイプラインを公共インフラと考え、国や自治体の主導で整備を進めているそうです。イギリスでは政府が国営企業の資金調達を支援し、イタリアでは州が建設費を負担してきたといいます。

日本でも、新潟県糸魚川市と富山市を結ぶ「富山ライン」、茨城県日立市と栃木県真岡市を結ぶ「茨城-栃木幹線」など新たに完成したパイプラインがありますが、それでも全体から見るとまだまだ進んでいないのが現状です。

ガス事業に参入するには高い壁がある

ガス事業に新規参入する企業が少ないのは、パイプラインの整備以外にも理由があります。

都市ガスの供給エリアを対象に新規参入するとしても、コストがかからないわけではありません。既存のパイプラインを借りることになるため、電力自由化と同じように託送料金(パイプラインの使用料)がかかってきます。この託送料金がどうやら高くなりそうなのです。

また、ガス機器の保守点検によるコスト増、天然ガスの安定確保など高い壁がいくつもあります。

都市ガスの競争が見られるのは限定エリアのみで、日本全体が自由に都市ガス事業者を選べる時代はまだ先になりそうです


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