4月の電力自由化を控え、電気の購入先変更の申込件数が発表されました!
その件数は、全国で5万4千件。地域によって大きな差が出る結果となりました。圧倒的に多いのは、激戦区である東京電力と関西電力の2つのエリアです。
特に、関西電力エリアは全国一、競争が激しいようです。
一方、購入先変更がゼロの地域もあります。
1月末現在で、電気の小売りに新規参入する事業者は約150社。そのうち、競争に打ち勝ち、生き残れるのは何社なのでしょう。
電気の乗り換えの大半は、関東と関西!!
先日、電力自由化を支援する電力広域的運営推進機関(広域機関)が、電気の購入先変更の申込件数(1月29日時点)を公表しました。
集計結果によると、合計5万4千件が電力の購入先変更の申し込みをしているそうです。
注目は、新規参入事業者が多い関東と関西で、どちらも激戦区となっています。逆にいえば、関東と関西以外の地域は動きがゆるやかです。
では、エリア別に見ていきましょう。
●北海道電力 … 約400件
●東京電力 … 約3万3000件
●中部電力 … 100件未満
●関西電力 … 約2万1000件
●九州電力 … 100件未満
※東京電力の件数には、同社の割安な新プランに移行した分が含まれています。
なお、上記以外の東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、沖縄電力のエリアでは、購入先変更はゼロです。
電気の購入先を変更するには、次世代電力計のスマートメーターを各家庭に設置する必要があります。
集計結果は、このスマートメーターの設置手続きを申請した件数だけなので、実際の変更申込件数はこの数字より多いと見られています。
2度の値上げをした関西電力に逆風!?
電気の購入先変更の件数で群を抜いているのが、東京電力と関西電力。他を大きく引き離す件数です。
特に注目すべきは関西電力で、新規事業者に乗り換えた割合は東京電力よりも高くなっています。最も競走が激しいエリアといえるでしょう。
その理由は、なんといっても電気料金の高さ。
関西電力は原子力発電所の稼働停止の影響で、これまで2度の値上げを行ってきました。
そのため全国で最も電気料金が高いエリアとなっているのです。
この2度の値上げに消費者は不満を募らせていたようで、新規事業者に乗り換える人が多い結果となりました。
さらに、2月3日の「日経ビジネスオンライン」に、関西の競争激化に関する興味深い記事がありました。
記事によると、関西は光回線の顧客獲得競争がとても激しいエリアとのこと。
全国的に見ると、光回線はNTTグループが圧倒的なシェアを誇っています。全国平均で78.3%、東京では85.1%という高いシェアなのに対し、滋賀県は40%、奈良県は46.1%という低さ。
関西では、NTT西日本、ケイ・オプティコム、JCOMの3社が光回線のシェアを争っているのです。そのうえで、ケイ・オプティコムとJCOMは「光回線+電気」のセット割でお得感を打ち出しています。
光回線を絡めた2社の積極的な戦略が、ほかの新規事業者への刺激になり、競走が勢いづいていると見られています。
そして、もうひとつ忘れてはいけないのが大阪ガスの存在です。
関西電力は、停止していた高浜原子力発電所3号機・4号機の再稼働のメドが立ったことから、電気料金の値下げを示唆しました。
そのタイミングで、新規事業者である大阪ガスは、関西電力より割安な料金メニューを発表。
関西電力と大阪ガスの値下げ合戦も注目したいところです。
割引サービスから見る「関西人はお金にシビア?」の真実
関西での価格競争の激しさは、各社の割引サービスからもうかがえます。
「光回線+電気」のセット割を展開するケイ・オプティコムは、契約事務手数料や解約時の違約金も無料にするサービスを打ち出しています。
JCOMも関西だけの地域限定キャンペーンとして、セット契約を条件に、電気料金の第三段階料金を1年間20%割引くサービスを発表しました。
また、KDDIもスマホなどとのセット契約のキャッシュバック還元率を、ほかの地域では最大5%なのに、関西ではなんと最大12%に引き上げています。
さて、電力自由化まであとわずか。広域機関は今後も集計結果を公表していくので、どのくらいの人が購入先を変更するのか注目していきましょう。